音楽の神様(いい感じのときにやってくる)

 

彼らの存在を初めて身近に認識したのは、去年の年末サカナクションのライブに行った時、ボーカルの山口一郎さんがMCでふと話し始めたことから

 

「さっきさ、演奏中、俺誰かにずっとギターのネック支えて持ってもらってたんだよね」

「前にも一回リハーサル中に知らない声が聞こえたことあったんだけど、話してなかったっけ?」

 

淡々と、でもどこか嬉しそうに不思議な出来事を話す山口さんにわたしは惹かれていて、でも大半の人の空気は引いていた、普通に怖いよ!って周りの人も呟いてたし

 

さらには、目が明く藍色という曲で最後の1音を弾いた山口さんが手を高く上へと伸ばし、ピックを落とすという演出があり、その際に耳元で「さんはい、」と声が聞こえたそうで

 

「なんかいるのかな、盛り上げてくれたんだよね」

 

なんとも言えない空気になったとき、わたしはその存在の虜になった

 

元々わたしは幽霊とかおばけとかは苦手で、ホラー映画や怪談が好きだからこそ心霊スポットの類には行かないし、触れていいものではないと思っていた

 

ただ、怖い、というよりかは、確かにいる、ということを認めていたから

 

「ア・ゴースト・ストーリー」という映画がある

簡単に言うと地縛霊のお話なんだけど、わたしはその映画が生涯ベストの1本であり、今の自分の思想のひとつになっている

この映画に出会ってから、この世界のデカすぎる歴史や、続いてゆくものへの理解がかなり深まり、同時に自分の抱いている不安や、この世とは違うものたちのことをたくさん考えるようになった

作品としてはかなり退屈で静かなものなので人におすすめできず、見た人に感想を聞いてもポジティブなものが返ってきたことがないので、もし気になってどうしようもなく時間があいたらぜひ見てほしいのだけど

 

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とにかくこの映画に出会って、地縛霊、場所に存在するもの、人からは見えず、見られず、極力関わらず生活を続けているもの、に漠然とした憧れを抱くようになった

 

友達になりたいとか見たいとか怖い思いをしたいとかは一切なくて、でもいるという事実を間接的に知れたら嬉しいなという感じ

書いてて思ったけど文字に表現するのすごく難しいな

 

そんな彼らに、ついこの前直接出会うことができた

 

SADFRANKのライブに行った、NOT WONKというバンドの加藤さんがやっているソロプロジェクトで、大阪でのライブは初だった

久しぶりに加藤さんの歌声が聴ける機会に心が踊り、チケットを見ると整理番号が1番で軽くガッツポーズをした

いちばん前、いちばん真ん中で音を浴びた

たくさんの機械を足で踏んだり手でいじったり、吹いた口笛が左右のスピーカーから交互に聴こえてきたり、ライブだから当たり前なんだけど、特に"この空間、この時間でしか出会えない音“がたくさんして、

あまりの良さに椅子から浮きそうになっていたとき、加藤さんも同じく、最高潮にいたのだと思う、ギターを弾きながらも右手を天に向かって伸ばしていた

 

その瞬間、わたしは誰かに肩を2回ポンポンと丁寧に叩かれた

すぐに振り向いたけど、誰もこちらを見ておらずステージを見上げていた

なんだったんだろうと思いまた前を向き直すと、加藤さんがマイクを通さず、言った

「今日なんかいるな、ここ」

その瞬間、彼らの存在を脳がはっきり認識した

いる!と小さく呟いてしまったような気がする

わたしは今までにないような感覚と壮大な音の中で、文字通り夢のような時間を過ごしていた

なんかいた上に触られてしまった!

 

不思議と怖いとは全く思わず、なんだか自信だけがついてしまい、終演後加藤さんにライブで感じたことや今までどれだけ救われてきたかを直接お話した

 

普段はライブに行って演者さんとお話できる機会があっても、時間をとらせてしまうのが申し訳ないと思ったり、どれだけ好きかを拙い言葉で伝えても支離滅裂になって終わってしまうので「お疲れ様でした、最高でした、また来ます」くらいしか伝えず、あとは持ち帰ってツイッターにだらだらと書いて満足させている

でもその日はなんだか話さなきゃダメだと思って全部言えた、やっぱり支離滅裂だったし、泣くのを我慢して声もかなり震えてたけど、ちゃんと聞いてくれて受け取ってくれた

全部彼らのおかげだった

 

あの肩ポンポンは彼らではなく、偶然後ろの人の上着や荷物が当たっただとか、可能性を考えてはみたけど、全着席だったし間隔も空いてたからな、呼ばれたとしてもその後振り返って誰も何も言わないのおかしいよな、とか、やっぱりどうしても信じたい自分と、真実はどうであれわたしの行動が変えられた事実だけが残っていて、素晴らしい体験をしたなと思った

 

彼ら、かわいらしく言うと、音楽の神様、ただし、とってもいい音楽が鳴っていてあらゆる条件が整ったときのみ現れる

いま思うと、今日はほんとによかったな〜と思うライブでは演者さんがどこかをじっと見ていたり、なにかに助けられたり、手を伸ばしていたりすることが共通して多いことに気づく

 

また彼らに会えますように

 

 

 

 

 

おまけ:最近すごく好きなお話を読んだのでシェアハピします、これも読んでてすごく心が震えた

https://blog.goo.ne.jp/iine_piroshiki/e/1db24ee08d36c301aae60dd2a8f67436