thirsty【過去ログ】
失ったそれは不似合いな季節を早めて、2番目の色を演出した。
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あなたは海が好きで、そして海のように深く、青かった。
いまわたしの目の前に広がるのは、海と空の、コントラストの合わない青、青春の青、若すぎた青
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"ねえ知ってた?"左手で絵を描くのはとても難しいのよ。
器用な左手に触れられた頬が愛おしい
"ねえ知ってる?"あなたがいないとわたしはびっくりするほどなにもできないの。
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わたしはあなたの右側を歩くのが好きだった。寂しそうな右手を守ってあげる騎士のような気分だった。
足りないものなどなくって、すべてが完璧に思えた。
わたしが完璧でいれたのは彼のおかげだったんだと気づいたのは、彼がいないと歩くこともできない自分を軽蔑したときだった。
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いまここは確かにわたしとあなたの2人きり
やっぱり水が無いと生きられないのね、と心の騎士が笑っている。そんなわたしを彼は許してくれるだろうか。実は毎日押しつぶされそうで。
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"渇いた心を満たして"
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彼を受け入れた海は青さを増して嬉しそうに光っている。